AIが登場したことによって、一部では薬剤師の仕事を奪われるのではないかと戦々恐々としているという意見があります。しかし、本当にそうでしょうか。最新技術が人間の仕事を奪うようなことがあるのか、疑問に思う人は少なくありません。仕事が完全になくなるのかを確認しておくことが冷静に判断するポイントとなります。
地域にもよりますが、実はAIは地方の薬局では貴重な戦力となる可能性を秘めています。地方の薬局では慢性的な人手不足となっているところが少なくありません。若い人は都市圏へ出てしまい、高齢者が多く残っている地域の場合、薬局で働く人の人数が圧倒的に少ないことは事実です。
そのため、調剤業務を代行できるAIの存在は貴重な戦力となります。地方の人手不足を解消するための人件費と、AIを導入する金額とを比較することでどちらがより効率よく戦力となるのかを把握することが可能です。
多くの患者が訪問したとしても調剤スピードを一定で行うことができるため、地方では新人を育てるよりも利便性が高いと感じる経営者も少なくないため、AIに注目しているといいます。
調剤と服薬指導、書類仕事などが主な仕事となっていますが、そのうちの調剤業務をAIに任せた場合、仕事が奪われるのではないかと疑問視する声が少なくないのは事実です。しかし、かかりつけ薬剤師など新たな制度が誕生していることもあり、求められている仕事は単なる調剤ではないことがわかります。
かかりつけとなった薬局では健康や介護用品などに関する疑問や不安などを相談に行く患者が少なくありません。かかりつけとなっていなくても、服薬指導だけではなく患者とのコミュニケーションにより、患者のライフスタイルや医薬品を摂取しているかどうかなどを明確にすることが任務とされています。
これはAIには絶対にできない機能です。そのため、確実に仕事を取られることはありません。
AIが得意としているのは調剤だけではなく、在庫管理や自動発注といった医薬品の在庫管理などです。事務に関しても活用することで効率よく書類作成を行うことができるようになります。一方人間が得意としているのはコミュニケーション能力で、人間同士の共感性・思いやり・協調といった部分です。
これらはお互いに重なり合うことがないため、少人数の薬局でAIが在庫管理や発注・調剤といった仕事を請け負う代わりに、訪問してきた患者やオンラインでの患者の服薬指導を行うことが今後の薬剤師の使命ではないかと考えられています。