地震などの自然災害による被害が起きたとして、医療従事者は災害時にもしっかりと対応しなければなりません。いつ起こるかも分からない自然災害ですが、患者さんのためにも理解を深めておくことが大事になるでしょう。
自然災害が発生したとき、医療機関を含めて薬局などで果たさなければならない、そうした役割がたくさんあります。被災地で診療をする医療機関であれば、被災者を受け入れることが求められます。適切な医療を提供するためには知識や技術のあるベテランが先立って動きましょう。
薬剤の専門師は診療を支える役割も担います。被災地には医薬品の数を確保できないこともあるので、外から受け入れる医薬品の管理を担います。また、他職種への情報提供や共有も必要です。薬局が倒壊していない場合には、被災者へ医薬品を提供します。
救護所でも活動します。もちろん、自然災害ですから、事前にあらゆる状況を想定した訓練も行われています。それと連動して、医療機関、近隣薬局、卸などとの連携をはかるライフラインの確保も必要になります。
薬剤師として勤めている医療機関や、薬局が被災してしまうことも想定しなければなりません。被災状況にもよりますが、迅速な対応が必要になります。そのなかで優先すべきは、患者さんの安全性を確保することや負傷者がいるならば救助支援も必要になります。
薬局に足繁く通う患者さんを優先するだけでなく、在宅療養をする患者さんへの連絡を行います。また、家族の安全も確認できれば避難することを促しましょう。自治体などとの情報共有をしながら、薬剤の専門師の派遣を要請します。
派遣された医療従事者は医薬品を確保して持参します。
医療救護所での活動も必要になります。これは、大規模災害時には要請されるため、各施設によって派遣する専門師が選ばれます。医療救護所が設けられていて、そこで医療チームが発足されます。医療救護活動はチームリーダーが指示を出し、テキパキと行われます。
災害時には使用できる医薬品の種類や量に制限がかかる場合もあります。また、専門ではない患者さんに対応するので、通常の服薬指導だけではない幅広い活動が強いられます。ライフラインが遮断された場合には、全国で台数は少ないものの災害医薬品供給車両が活躍します。