薬を処方する薬剤師の業務は、患者を相手にする指導や説明の他にも医師に対して行う業務も存在し、代表的なものとしては「疑義照会」があります。この疑義照会は患者に適切な薬を提供するための重要な業務ですが、ここではどのような意味があるのかを紹介していきます。
疑義照会とは、医師が提示した処方箋に不備が見られた場合や、薬剤師の観点から適切な薬ではないと判断した時に用いられる業務で、処方箋を出した担当の医師に連絡を取り、正しい処方となっているかの問い合わせを行うものです。
例えば、現存する病気に対しては適切な薬だけれど持病で服用している薬との相性が悪い、投薬日数の上限を超えた記載がされている、などが認められれば医師に確認をして薬の変更や投薬日数の縮小などを提案することとなります。
他にも、担当した医師の名前や押印が見当たらない、名称が変更された薬や販売が中止された薬が記述されている、などの場合にも疑義照会は行われます。
この疑義照会は法律で定まった義務で、疎かにしたりスルーをしたりすると違反行為として罰せられることがあります。それは、医療従事者としては医師と共々に従わなければならない責務であり、患者が抱える病気を治すためにも疑義照会は避けてはならない大切な業務の一つとなります。
正しく処方された薬は患者の病状緩和や病の根治に関わるもので、間違った処方は健康状態を左右する危険性を孕んでいるものです。疑義照会は、ある程度の勤務年数や実績などを伴わないと携わるには難しい面もありますが、薬剤師としての経験を積むには必要な業務と言えるでしょう。
なお、疑義照会を行うにあたってポイントとなるのは、医師とのコミュニケーションとスムーズな連携です。医師は多忙なことが多く、疑義照会は相手の間違いを指摘する行為でもありますので、言い方に注意をしないと相手も不快感を抱き、患者に適切な薬の提供をすることが難しくなる可能性もあります。
伝え方としては、手短に簡潔に伝えられるようにあらかじめ内容を考えてから連絡をする、丁寧な言葉は勿論のこと、相手をイラつかせない言い方を選ぶ、などがポイントとなります。また、代わりとなる薬の提案をすぐに伝えられるようにしておくとスムーズに話を進めることができます。
そして、医師の中には指摘された薬に関する点について質問をしてくる場合もありますので、一通り説明ができるように準備をしておくことも大切です。