処方せん監査において何らかの問題点を発見した際には、看過することは許されず適切な対応が求められます。具体的には医師へ連絡して連携をとることになりますが、配慮のない指摘は医師の自尊心を傷つける可能性があります。薬剤師の判断に誤りがあれば医師からの信頼を損なう結果になることも考えられます。いずれにしても医師への配慮が必要ですが、患者を放置して行うと患者との関係に悪影響が出ます。医師と患者の双方に配慮した適切な対応が求められます。
処方せん監査ではいくつものチェック項目を確認していくことになりますが、その途中で間違いや不備を発見しても医師への連絡はすべての手順を終えてからにしましょう。
途中で連絡を取ってしまうと残されているチェック項目に問題が出た場合に再度連絡を入れる必要が出てきます。一つの処方せんで何度も連絡されることは、医師にとっては何度も間違いを指摘されることになるので気分の良いことではないですし、内容修正も複雑になってミスの原因になります。
すべての確認作業を終えて指摘するべきことを整理して報告すれば、医師の気分を害することなく的確な修正が可能になります。
間違いがあることだけを告げるのでは処方せん監査として不十分で、必ずどのような修正が必要なのかも加えて連絡を入れなければいけません。薬剤師は医師の作業を事務的にフォローしているわけではなく専門家として薬剤に対する責任を負っています。
どのように修正するべきなのかの提案を用意してから医師に連絡を入れる必要があります。経験が浅いうちは医師に意見を言うことに抵抗を感じるかもしれません。その場合は先輩や上司など経験のある人に相談してから連絡を入れるといいです。
先輩や上司に相談する際にも、自身の提案を添えておく必要があるのは医師へ連絡する場合と同じです。
処方せん監査で問題が出れば、通常の手続きより時間がかかるので患者さんを待たせてしまうことになります。何も伝えずに放置しているのは誠実な対応とは言えません。詳細を具体的に説明しても、専門的なことが多く含まれているため理解を得るのは難しいですが、時間がかかることくらいは伝えておきましょう。
処方せん監査は医師や薬剤師のためにするのではなく、患者さんのためにすることという意識を強く持って業務にあたることが大切です。