医療機関では、入院医療・外来医療に次ぐ第三の医療として在宅医療が広まりつつあります。自宅や施設に訪問して医療を施すのが在宅医療です。病院に行かなくても同じような医療を受けられるので高齢者や体が不自由な方にも安心です。医師や看護師だけでなく、薬剤師も時に在宅医療として勤務する場合があります。
自宅や高齢者施設など居宅が医療提供して良いと認められたのは1992年に遡ります。医療制度が変化し、2006年には在宅療養支援診療所が制度化されました。医療や介護に加えて、住まいや生活支援も加わった在宅医療が推進されはじめています。
地域が一体となって健康の相互支援を行う概念が誕生しました。在宅医療が普及したのは、高齢化などによる疾病の多様化や長期の医療ケアを必要とする患者さんの増加が理由です。病院ではなく自宅で過ごしたいと願う方も増えています。
住み慣れた場所で医療を受けることが在宅医療推進の背景となるでしょう。現在の在宅医療は24時間対応もしくは医師による定期的な訪問になります。在宅医療を行う薬剤師は薬の知識を活用して、医師やケアマネージャーなどと連携し努めていきます。
在宅では患者さんの自宅や施設に訪問して服薬管理を行います。その場で調剤をして提供および服薬指導をします。服薬管理を行い、患者さんの健康相談にもあたります。薬剤の管理は認知機能が低下した患者さんにとって難しいものです。
誤飲や過量服用などトラブルを避けるために保管状況を整えます。必要があれば服薬カレンダーも作成するでしょう。複数の病院の薬を服用するなら重複や飲み合わせのチェックなども行います。飲み込むのが難しい患者さんは粉砕調剤に対応するなど生活面からも配慮していきます。
もし服薬中の薬から副作用と思われる症状があれば、医師に報告してほかの処方も提案します。介護をするケアマネージャーには薬剤の注意事項の助言も行います。
薬局内で働くのと比べて在宅では患者さんと多くの時間をかかわってきます。患者さんや家族との円滑なコミュニケーションが必要です。医師やケアマネージャーとも連携し、患者さん一人一人にあった対応を取ります。
また、必須ではないものの薬物療法認定資格や在宅療養支援資格があると有利です。資格を持つことで、患者さんや家族、医療従事者への信頼度も上がって品質の高い医療を提供できるでしょう。薬局では外来で訪れる多くの患者さんの対応をします。
在宅医療では一人の患者さんとかかわり継続的に服薬管理や服薬指導を行うことになります。その人の性格や家庭環境を配慮し、体調や生活スタイルに何か変化があれば気づく必要があります。それを元により良い薬物療法を提案しましょう。